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第51-2話密かに動けば内助の功?
一緒に昼食を取る仲でも、たぶんケイロはやる。だって国の一大事だから。
親友を追い詰める真似はしたくない。けれど、このまま放置はできない。
一回、マイラットから話が聞けるといいんだけどな。あっちの事情が分かったら、もしかしたら何か状況が変わるかもしれない。
知らないから困るんだよ。うん。誤解の元だ。
俺は巻き込まれちゃった第三者だから、当事者じゃない分だけ怒らずに事情は聞けるし、もしマイラットが悪いヤツで何か仕掛けてきたら遠慮なく倒せるし……俺が密かに動いてみるとするか。
……これって内助の功になっちまうのか?
ケイロのことを考えて動こうとすると、全部夫婦絡みな感じがしてならない。
なんでこんなに夫婦やっちゃってんだよ、俺……と頭を抱えていると、隣からケイロが不思議そうに俺を見つめていた。
昼食を終えてから、俺はひとり校舎裏へと向かった。
いつも食後にケイロは教室を離れて、ソーヤさんかアシュナムさんの所へ行って話をしている。俺がケイロの目を気にせずフリーに動ける、貴重な時間だった。
誰にも見られないよう俺は木の後ろに隠れると、小さく呟いてみた。
「風の精霊よ、俺の前に現れてくれ……」
今までのケイロの言動を思い出し、それっぽく言ってみる。
すると淡い緑色の光球が目の前に浮かび現れてくれた。
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