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第64-1話信じるより信じたい

 タッ、と軽く助走をつけながら、俺は精霊たちに向かって叫ぶ。 「この場にいる精霊よ、龍になって俺を乗せろ。そしてケイロたちを取り囲め!」  言いながら、精霊に龍って分かるのか? と心配になったが、戦いを止めない俺の声に応えて精霊たちが一斉に集まり形を成していった。  多彩な光球が作り出した龍――俺に顔を向けながら、長くて巨大な体を境内を取り囲むように伸ばしていく。そして俺に目配せして、乗るように促してきた。  俺は龍の首へ駆け上り、その勢いでまたがる。 「よし上出来。さあ、行くぞ」  頭を起こして俺を高く上げながら、龍はその体で作り上げた円を縮めていき、ケイロたち――巻き込まれてマイラットも一緒に――を囲っていく。  さすがにこの状況は見過ごせなかったらしく、ケイロたちは戦いの手を止め、俺と龍を見上げて目を剥いていた。 「何をしているんだ、太智?!」 「人の話は聞かないし、自分の都合を勝手に押し付けるし、巻き込むだけ巻き込んで取り返しがつかない所まで追い込むし……もう愛想尽きた。ってか、もう我慢しなくても良くなったから、今まで溜まった鬱憤、ぶつけさせてもらうわ」  俺は左手を見せつけて、婚姻が消滅した事実を突きつける。他の三人が呆然と俺を見る中、ケイロだけはその目が痛みを覚えたかのように細まる。 「……目的だった離縁を果たして、俺に復讐する気か?」 「そう思うなら思えばいい。取り敢えず俺もケイロと同じく、自分のやりたいようにやらせてもらう……精霊たち、思う存分にケイロへ突っ込め! あ、マイラットは悠の所へ移してくれ」

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