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第34話
「週に一度の薬品管理だ。私が薬品名を言うから、望月はこのリストにチェックを入れてくれ」
「は、はい」
ほっとした、のか? 僕は。
てっきり、あの時みたいに……。
(何を期待してたんだ、僕は!)
首をぶるりと振って、透はよからぬ考えを断ち切った。
そう。佐々木先生は、ちゃんとした大人で、教師なんだ。
あの時はきっと、どうかしてだけなんだ。
「望月、水酸化ナトリウム」
「あ、はい!」
佐々木の挙げる薬品名を、リストに探す。
そして、チェックを入れる。
そんな作業をするうちに、透の心は平静を取り戻していった。
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