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空気に触れるだけでヒリヒリするくらい、何分も乳首を弄くられ続けた。
舌先で舐めてるかと思えば歯先で甘噛みしてきたり、唇で巧みに啄んできたり。
俺のは女の子みたいに膨らんでないのに、胸元を鷲掴まれていっぱい揉まれた。
まだ慣れない刺激がもどかしくて腰を揺らすと、和彦に優しく微笑みかけられる。
「開発はこれからです、これから。 半年後にはここだけで射精出来るようになりますからね」
俺の乳首を我が物顔で摘みながら和彦が言った「射精」という単語一つで、心臓が跳ねた。
身動ぎしようにも拘束された手首がキリキリと痛くて、ほんとに動く度にキツく締まっていってる気がする。
よく分からない理由でこんな事されて、抵抗もままならない俺の肌にたくさん吸い付いては離れていく和彦を、蹴り飛ばしたいとはどうしても思えない。
初めての時と一緒だ。
こんなの理不尽だ。 横暴だ。 …頭ではそう分かってるのに、手首が締め付けられる痛みにさえ感じ始めてる己の初な分身。
今は和彦の事が好き……かもしれないから余計に、触れられている事自体が喜びに変わっているのかもしれない。
結局は、俺もおかしいんだよ。
王子様の仮面を被った狼に、まんまと捕らわれた小動物なんだ…俺は。
「温かいの用意したんです。 気持ちいいといいですけど…」
「…何…っ? それ、何…っ?」
「なんでしょうね」
ベッドサイドに置かれた、アンティーク調の丸テーブルの上にあったそれを手に取った和彦が、嬉しそうに俺に見せてきた。
綺麗な水色のボトルを傾けて、中身を指先に馴染ませている。
糸を引くほど粘り気のあるそれの正体を、俺は知らないはずが無かった。
「ほら、本当に温かいですよ」
「えっ…? う、っ! ……っっ」
人肌ではない温かみを纏わせた指先が後孔に触れて、瞬時に腰が引ける。
……ビックリした。
だって、ほんとに温かかったんだ。
「やっ…っ……う、嘘だろ、ほんとにこのまま…っ?」
「はい。 優しくします」
何の準備もしてないお尻の穴に、濡れた指先をぐちゅ、と躊躇なく差し込まれる。
恥ずかしいほど勃ち上がった俺の性器と、指を挿れられたままの孔付近にローションをたっぷりと追加されて、開いていた足が腿から足先までプルプルと震えた。
抜き差しされる度に孔は収縮し、受け入れの準備のために括約筋が覚醒する。
蠢く指先と内襞が、俺の意思とは関係なくリンクしていく妙な感覚を、前回よりも熱い下腹部全体で味わった。
和彦は瞳こそ獰猛だけど、解してる最中も柔らかな雰囲気は一切崩さない。
優しい声色と雄々しい行動が真逆過ぎて、混乱しそうだ。
「〜っ、言ってる事が、おかしい! ……ん、んんっ……この拘束がまず、…っ優しくないよ!」
ぐちゅぐちゅと中を掻き回されると、つい足を閉じてしまいそうになる。
自分でいじくってたのとは大違いの手付きに、目も開けてられないくらい気持ちいい。
だから、今さら抵抗なんかしないよ。
でもでも、「憤慨してるんだぞ」って事は伝えたくて、孔に力を込めてみながらそう言うと、眉を顰めた和彦はずるっと指を引き抜いた。
無表情で水色のボトルを手に取り、自身の性器にまんべんなく塗りたくる様を恐々と見ていた俺は、初めてまともに和彦の性器を見て驚愕した。
だ、誰だよ、「僕のはそんなに大きくない」なんて要らない謙遜をしてた奴は…!
「本当は足首も縛りたかったんですよ? それを手首だけにしているんですから、優しいですよね。 七海さんを壊さないようにするためには、僕が七海さんの肩を押さえつけられないようにしないとって思ったんです」
「お、押さえ……!?」
「まだ僕は自分の欲深さを知りません。 七海さんは魅力的過ぎるから、抑えが効かなくなったら困るでしょう? 急激なトランス状態に入ったら僕は何をするか分からないし、自制効果も期待しています」
「……こ、こわ…っ、なんかめちゃくちゃ怖いよ…っ」
万歳状態の手首から脇までを、ツー…と意味深に人差し指でなぞられて、それが何かの高度な合図のように思えてならなかった。
ちょっと待って…。 和彦、俺が初心者中の初心者だって事、忘れてないか…?
言ってる事の半分以上は理解出来ても、孔にぴとりと熱い先端を押し当てられると、迫り来る質量に尻込みしてしまう。
自分のじゃない男性器を生で見たのが初めてで、そのせいもあった。
怯む俺の腰を持った和彦は、グッと先端を挿れ込んでから甘やかに唇を食んだ。
「ん────っっ」
「……その七海さんの瞳もゾクゾクしますね。 いつでもどこでも僕の心を瞬時に持っていくなんて、まさしく罪ですよ。 ……可愛い僕の悪魔ちゃん」
「待って、…待って…っ、待って…!」
和彦が俺に、ドキドキさせたいって言ってくれてた通り、俺はちゃんとそうなってる。 言葉と行動が伴ってなくても、和彦がそばに居るってだけでずっとそうなってる…!
ゆっくりを期待した俺の願いもむなしく、解されて間もないそこにじわじわと、性急に、全部を挿れ込もうとしている。
全然、待ってくれない。
何かに怒っている和彦は、手首を縛った上に優しい顔をして俺の言葉をさらりと無視する。
もっとゆっくり、少しずつこの熱に慣れさせてよ。 …熱くてたまらないよ……っ。
「こ、こ、…っ壊れてる! 和彦はもう…っ…っ……トランス状態に、入ってるよ──っ!」
「ふふ、…縛られていても元気いっぱいな七海さん、とっても可愛いです。 今日は何としてでもセーブしながらやりますからね。 七海さんを落とさないように、頑張ります」
………微笑むタイミングを間違えてる。
挿れてすぐからゆるゆると腰を動かしてくるのに、誰がその言葉を信じるんだ。
絶対にセーブなんてするつもりないだろ、和彦…?
「トランス状態を七海さんが味わうには、まだ早いですよ」という恐ろしい囁きを間近に聞いて、俺は早くも意識が飛びそうだった。
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