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第10話

 それからも凌也は、答えにくい質問を次から次へとぽんぽん投げてきた。  初めての時は何歳ですか、とか。週に何回ひとりエッチしますか、とか!  40歳の翔吾には初めての時など遠い昔過ぎて思い出せないし、オナニーの回数なんてこの年齢になると、週単位ではなく月単位になる。  答えの代わりに、アルコールを一口二口飲んでは苦笑いをする。  そんな事を繰り返すうちに、ひどく酔いが回ってきた。 「兄さん……、大丈夫ですか、兄さん?」 「ん、あぁ。ちょっと、もう、寝ようかな」  いやにダブつく胃を鳴らしながら、翔吾はゆっくり立ち上がった。すぐに凌也が体を支えにやってくる。 (頼もしいもんだ)  あの小さかった凌也も、ずいぶん大人になったものだと酔った頭で感心しながら、翔吾は寝室へと向かった。  入ってすぐの壁を探って照明を付けたが、もうそのままベッドへ横になってしまった。  着替えるのも億劫だ。

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