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第24話

「好きです、兄さん」  声は控えめで小さかったが、宣誓のようにしっかりとした響きを持っていた。  昨夜のこと、忘れないで。  あれは夢なんかじゃない。   「凌也……」  それだけで凌也は、照れたように離れた。 「朝食、もうできてます」  そして、キッチンへ行ってしまった。 「俺も好きだよ、凌也」  もう聞こえない弟へ、翔吾は返事をしていた。  朝の光は、昨日までとは違う明るさとぬくもりを持っていた。

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