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第23話
「ずるいじゃないか」
先手を取られた気もしたが、妙な安堵感もあった。
そう、普通にしていればいいのだ。
あれは一夜限りの契り。
二人とも、酔っていたのだ。
無理に結論付け、翔吾はシャワーを終えた。
脱衣所へ出ると、凌也がタオル片手に立っていた。
「はい、兄さん」
「ありがとう」
タオルを受け取り、髪を拭こうと頭から被った。
乱暴に掻き回して息を継ぐように顔を上げると、吐息がかかるほど間近に凌也が近づいた。
翔吾の耳に唇を寄せ、頬と頬とが触れ合った。
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