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第8話
唇を目の前のそれにそっと押し当てながら明らかに今までの相手とは違う骨格や厚みを持った体を抱き寄せ、素直に預けてくる体重を受け止めながら嫌悪感が全く湧いてこないことを確認した本田は更にキスを深くした。
「ん…ふ…んん」
喉から直接漏れるような吐息に煽られて更に体を密着させながら、自分はまっ昼間からいったい何をしようとしているのかと不意に正気に戻りそうになったが、理性を無理やりねじ伏せて目の前の行為に没頭することを選んだ。体の位置を入れ替えて凭れていたダイニングテーブルに秋元を押し倒すと覆いかぶさってキスを続ける。秋元の唇の端から流れる唾液を啜り取りながらスウェットのしたから手を差し込み、薄く筋肉のついた平らな胸をまさぐり小さな突起を探り当てると手のひらで触れるか触れないかの刺激を与える。
「あ、や…や…です。もっ…んあっ」
上衣を思い切りたくし上げて胸に吸い付くように口をつければ大きく背中をしならせてどちらかといえば色白な肌がほの紅く染まる。熱い吐息が本田の頭頂にかかり、こちらを見ているのを感じて目線をあげて見つめ合えば涙でいっぱいの瞳は何かを懇願するように訴えかけてくる。
「…男とやるのは初めてなんだ。どうすりゃいい?」
秋元の上衣を頭から抜き取り、鎖骨に舌を這わせながら聞けば切れ切れの息の間に
「俺の…鞄。小さいボトルがあるんで」
やっとの思いで体を剥がし、ベッドに秋元を導いて再び押し倒すとベッド脇に落ちていた秋元の鞄から小さなボトルを取り出した。お互いの衣服をすべて脱ぎ去ってベッドの上できつく抱き合いながら体の線をなぞり合う。
「課長…うそみたいです」
潤んだ瞳で見つめてきながら長い脚を本田の腰に絡め、さっき取り出したボトルの中身を自分の手に取った秋元はその手を己の後孔にあてがった。秋元のやろうとしていることを悟った本田はその手を捉えて
「それは俺の役割なんじゃないのか?」
と秋元の手からヌメリを移しとり秋元がやろうとしていたことの続きをした。
「こうでいいのか?」
中指を慎重に蕾の中に埋めていけば、熱い息を吐きながら
「あ…はい。んんっ。そうです」
腕を本田の背中に回してくる。その後も秋元の言うとおりにローションをまとわせた指を増やしほぐせば、ある一点に触れた時にビクリと腰が跳ねることに気付いた。
「ここがいいところなのか」
そこを何度も指で刺激すれば
「ああっ! あっだめっ! はっあっ! んあっ!」
ビクビクと体を跳ねさせる。秋元の嬌声は普段より多少上ずっているとはいえやはり男のものだったが、感じ入って気持ちよさそうなのは十分に本田を煽った。
「おい。いつになったら挿れていいんだ?」
低い声で耳元にささやけば
「もう…お願いします。ください…欲しい、です」
目尻からも中心の先端からも雫をこぼしながらの懇願がきた。大きく脚を開かせ、本田が自分でも驚くほど熱く力をみなぎらせた自身にゴムを手早くつけると指を抜いたばかりのそこにあてがった。体験したことのない狭い入り口をこじ開けて中へとねじ込みゆっくりと息を吐きながら穿っていくとすすり泣くような声で秋本が悦がる。その声に引っ張られるように骨ばった細い腰を両手でしっかりとつかんで進めばついに最後までおさめることができた。
「課長…。本当に…夢みたいです」
そっと両腕をのばして本田の肩につかまった秋元の両の掌がひどく熱い。
「お前、そんなに俺のこと好きだったのか」
胸に湧き上がってくる愛おしいという感覚に戸惑いながら本田が聞けば
「入社した時からずっと…。こんな風に告白するつもりはなかったんですけど」
はにかむようにそらした目と額にかかる汗ばんだ直毛がひどくなまめかしい。たまらない気持ちになって唇を合わせれば
「ん。あ…課長。大きくなった」
吐息と共に漏れたつぶやきに本田の箍は外れ、おもむろに大きく腰を動かし始めた。
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