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第2話 「月が綺麗ですね」

「もしもーし、寝てたー?」 今はもう深夜と呼べる時間 分かりきったことを、少しでも君の声が聞きたくて質問してしまう 「うん。爆睡してたんだけど。ふざけてんの?」 「わー、ごめーん」 「……かっる」 「ごめんってー」 「はあ……で?何?」 呆れながらも付き合ってくれる君 「いやぁ、何でもないだけどさぁ…」 「は?ほんとお前何なの」 「……声聞きたかったんだよ…っ、そんな嫌だったら出なけりゃ良かったのにー」 恥ずかしくて小さくなってしまった最初の言葉 きっと君には聞こえていない 「はあ?出ないわけないだろ、お前からの電話なのに」 「っ、……ああもうほんと、ずるいよねぇ」 不意打ち。 なんで君はこうも、ストレートにこっちの心をかき乱すんだろう 「何が」 「分かってないならいーよ」 「…ふーん」 ああもうほんと、 「ねえ、」 「あ?」 「今日は…月が、綺麗だねぇ……」 「…まあ、確かに」 会えない君との、ちょっとした電話 ねえ、愛しています

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