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第4話 「雨音が響いていますね」
雨の音がする
「うわ、雨降ってきた」
「ですね」
「今日傘持ってきてないのに…」
項垂れる貴方
それと反対に、少し浮かれる
貴方といられる時間が増えた
「はあ、もう…とりあえず仕事……」
「あとどれ位です?」
「……もーちょっとー…」
「あー、はい。手伝います」
口では少し呆れたように
本当は、嬉しいんだけれど
喜んで手伝っているなんてバレたら、恥ずかしいじゃないか
「雨、止むかなぁ…」
「さあ、どうでしょうね」
期待なんて、させてやらない
止みますよ、なんて言ったら、貴方はすぐ帰ってしまうでしょう?
大好きな恋人の待つ、貴方の家に
知っている、分かってはいるんだ
それでも、止められないんだよ
「雨音が、響いていますね」
「うん、そーだねぇ…」
絶対に、外には出せない想いだけれど
愛していました
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