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第9話 「寒いですね」

「勉強を、教えてください」 人生初の土下座 くっ、まさかこんな日が来るとはっ 「嫌だ」 「何故に!!」 「めんどくせえ」 くそう、煙草なんか吸いやがって 体に悪いんだからな! 早死にしても知らないんだからな!! 「チッ、なんで俺なんだよ」 「舌打ちなんて、ガラが悪いですぞ」 「うっせえな」 ガラが悪くても頭がいい そんな人もいるよね 「貴方様しか勉強できる方がおらんのですよ」 なぜだか分からないが周りに集まってくるのは大抵バカ いや、ノリが一緒だから楽しくていーんだけども 一緒に勉強しよーぜとか絶対無理 ……まあ、この人に会いたかった、ってのもある 「お前の兄貴もできんだろ」 「残念ながらうちの兄貴は今出張中でおらんのですよ」 「チッ、くそ…さっさと終わらせんぞ」 「うぃっす!!」 やはり神はいたのだ、なんつって 嫌々言いながらやってくれるこの人は、やっぱりとても優しいんだと思う 「おい、早くしろ」 「さーせん!」 本当は、勉強なんてしなくてもいいし、明日までに提出の課題なんてない それを知ったら貴方はどう思うのだろうか 「あっ!こたつ!!」 そういえばもう冬だ 窓を見るとちらほらと雪が降っていた 吐く息は少し白い 「……寒いっすね」 「いーから早く問題解けや」 「…さーせん」 勉強終わったら、 抱き締めてください……なんつって

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