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第10話 「太陽が眩しいですね」

夏 「あ゙あ゙あ゙〜、あっつ〜」 日差しが眩しい季節 今のあいつの席はちょうど窓際 可哀想だなぁ、なんて思いながらちらっとあいつの方を見た 瞬間 目が合った 「な〜、なんか飲み物ない?」 「っ、ある、けど」 「まじで!一口ちょーだいっ!」 「う、うん、いいよ」 間接きす、だ なんて、意識するけれど きっとそんなことを考えてるのは自分だけ 「生き返るー!!ありがとー」 「う、ん、どういたしまして」 そう、どうせ、自分だけ 「なぁ、今日一緒に帰れない」 「あ、そーなの?分かった」 帰りは1人か…… こんな天気の中1人で帰るのかと思うと気が重くなる 愚痴もなんにもこぼせないじゃないか ゙暑い゙と不満を漏らすことさえ一人では億劫なのだから 「お前1人なの?」 「あ、うん、用事あるみたいで」 「なら一緒に帰んべ」 え、 「え、…いいの?」 「いーの!一緒に帰ってみたかったし」 「……そっか」 嬉しい 嬉しくて嬉しくてたまらない 隣に、並んでもいいんだろうか 顔は、にやけてないだろうか 変なことは口走っていないだろうか …嫌われたり、しないだろうか 不安で、でもやっぱり嬉しくて 頭の中がぐるぐるする そんな時、君が 君が、 こっちを見て、一言 「太陽、眩しいなー」 「へっ?うん、そーだね!!」 「……な」 後ろじゃ顔が見えないから、 横に来て一緒に歩きましょう

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