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第14話

どんどんお前は俺の知らないお前になっていく 俺はもう変われないのに もうそれ以上変わらないでくれよ 俺はまだお前と一緒にいたい 「先輩っ、帰りましょっ!」 「あ、うん」 俺の後輩は、素直で可愛い 最初は俺よりちっさかったはずなのに、いつの間にか抜かされていた 「今日アイス食べてきません?クーポン券もらったんですよ」 「うん、いいよ。暑いしな」 「やったー!!先輩何食べます?」 アイス一つで喜ぶ後輩 ちょっと見ない間にまたかっこよくなった 「バニラもいいけどチョコも捨てがたい……」 「じゃあ俺が片方頼むから半分こしよ?」 「わ、いいんですか?やったー!!」 ……やっぱり可愛い でもまた少し背が伸びたか? 俺はもう成長が止まってしまったようだよ後輩 「はい!どーぞ、先輩」 「ん、ありがと……うまいな、このアイス」 「でしょー!!俺のお気に入りなんです!」 俺の中のお前情報がひとつ、増えた まだ、知らないことが沢山あるな 今のうちにもっと知っとかないと、と思う きっとお前は、今以上にもっとかっこよくなって、俺に絡んでる暇なんてなくなると思うから 今のうちに、知れることを、知れるだけ 俺の中に溜め込んで、時々思い出す いい思い出だったなって、離れた頃に思い出して、泣いてしまうかもしれないけれど 一人で笑っていようと思うよ お前を思い出す時は、 きっと寂しくなった時 嬉しいと思った時 綺麗だと感じた時 とか、だと思うから 結局俺は、お前ばかりだ お前は俺を好きだと言うけれど、きっと今だけ 大丈夫、俺は元気でやっていくよ 新しく好きな人は作れないかもしれないけれど、記憶の中のお前がいるから だけど、今だけ 本当は変わって欲しくないけれど、ずっとお前と一緒にいたいけれど、 今だけは俺を見ててくれ 不快な思いはさせない、お前が嫌なことはしないから さよならする時までは、どうか

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