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第48話 「すきなところ」

゙存在が好ぎ どこが好きなのって、聞いてみた答えがこれ 「もっと具体的に」 「……一番は、声」 「なんで?」 「……俺に対する声が、特別だって一番わかる」 「顔じゃないんだ」 よく顔に出てる、とかいう言葉を聞く。 「顔は……見ないとわからないだろ」 「なるほど」 そんなに声に出てるかなあと思いながら、ここはさらりと流します。 「でも、お前ならなんでも好きだ」 「むふふー、てれちゃう」 真正面から言われるのはやはり少し恥ずかしい。言わせたの俺のようなもんだけど。 こういう直球なところが可愛くて、好きなんだよなあ、なんて。直球な癖して、顔を真っ赤にしちゃう恥ずかしがり屋さんなのもいい。 「ね、俺の声ってどんな感じ?」 「……お前の声、は……俺に話す時、いつもよりちょっと、低くて、穏やかで…いつも、優しい」 「優しい?」 チャラチャラしてるーとか元気な声だねーとかは言われたことがあるけれど。声がチャラチャラってなんだよって思った。 優しい、ねぇ。そんなことは初めて言われた。 「うん、すごく」 ゙だから、落ちつぐ なんて言われちゃって。 そんなにすごいことを言われたわけじゃないのに、なんだかとても嬉しくなって、恥ずかしくなって。 「そ、かー」 こんな言葉しか出てこない。 「……照れてんの?」 「、やめて」 「やっぱり、1番わかりやすい」 なんて、楽しそうに言うから。 その通りだ、って、顔を覆いながら、そう思った。 こっちから仕掛けたくせに負けたのが悔しくて。今度は勝つぞ、なんて勝手に意志を固める。言わせるのも良かったけどダメージくらったからもうあと1回くらいしかしない。多分。 次は逆のことをするのはどうだろう。自分の好きなところを聞かされて真っ赤になってあたふたするあいつが見たい。それに、好きなところ、なんていくらでも出てくる。 あいつが俺に言うように、あいつの落ち着いた低めの声が好きだ。綺麗に整った男らしい顔も好き。笑った顔も、怒った顔も、泣き顔も。 ずっと、俺のそばに居てくれるところも好きだ。隣にいて、俺をすきだと言ってくれる。 それだけで、もう十分だと思える。 考えればキリがない。あいつの一つ一つが好きだし、つまり全部が好きだ。そう考えると、あいつの言った最初の答えはそりゃもうその通りじゃないかと、なんでだか少し、嬉しくなった。 色々考えてみたけれど。 ゙存在が好ぎ 結局それが全てだよなあと。 そう思って、笑った。

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