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第49話 「カフェオレ」

好きだよって、言ったけどさ。 「毎日くれなくても……」 「俺があげたいだけだから!」 「そう……」 好きって言った次の日から、毎日飽きずに渡してくる。お金もかかるし貴重な時間使わせちゃうし、なんだか申し訳ないなぁって思うけど。本人が全く気にしてない顔でそういうものだから、なんだかんだ毎回甘えてしまう。 「……あ、今日のおいしい」 「!ほんと!?」 「う、うん……」 ぽそりと呟いた言葉に大袈裟に反応するもんだから、ちょっとビックリする。 かと思えば顔を伏せてわなわなと震えだすから、なんだか精神状態が心配。え、なんかまずいこと言った? 「……ど、どうした、の?」 恐る恐る聞いてみると、ガバッと顔を上げる。その顔に浮かぶのは満面の笑みで。 「今日のそれ、俺が作ってみたやつ!!」 「……え、そーなんだ」 「うん!!」 きゃー!!美味しいって!美味しいって!!やだーもうーきゃー!! なんて、1人暴れ回る。なんかいつもとキャラ違くない?大丈夫?心配になるほどだ。 「へー、すごいね。君も飲んだの?」 「そりゃね!毒味はしてあるよ!」 「毒味って……」 自分が作ったものに対して毒味とは……。 「でも、そっか……ふふっ、じゃあ、味の好みが似てるのかもね。なんかちょっと嬉しい」 「っっ!!」 自分と似た好みの人物を見つけてご満悦だったもんだから、その時の君の表情なんて、全くわからなくて。 ただ、また飲みたいなぁとか、呑気に考えていた。 「……ねぇ、これからもこれ続けるなら、君の作ったやつがいいなぁ」 「っ!!」 「なんか、今まででいちばん美味しかったかも」 「ぅぐっ!!」 「毎日飲むなら、君の作ったカフェオレが飲みたいなぁ」 「ぐはっ!!………………これはもはや告白と同義ではっ!!」 「え?」 「なんでもないです。ぜひよろしくお願いします」 大好きなカフェオレを毎日、しかも今までで1番好みの味が飲めるなんて。そんな毎日に思いを馳せていたせいで、なんだかダメージを受けていた君だとか、天を仰ぎながら早口で言った君の言葉だとかなんて、全く自分には知り得なかった。

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