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第29話 「だって、やっぱり」

さりげなく繋いだ手は汗で湿っていた 夏だからかな、なんて能天気に考えるけれど これが緊張してるからとかだったらなぁ、なんて少しの淡い期待 まあその期待は外れてなかったんだけれど 遠距離恋愛、と言うか中距離恋愛?の僕らは、会おうと思わなければ会えなくて でも僕は勇気が出なくて いつも、電話をかけようか悩んで結局諦めてしまう そんな僕の気持ちは知らないだろうけど、僕に会いに来てくれたこの人は 会いたい、って思った時に来てくれた それだけでね、心が通じあっている気がして嬉しいんだ ゙ちょっと近く通りかかったから寄ってみだ なんて そんなことあるはずないのに ゙少しだけどデートしよゔ だって デートっていうか散歩だけど でも嬉しい にやけが止まらない さり気なく絡ませてくれた手が愛しい 「暑い?」 ちょっとの期待と、暑いなら離そうかなって思いを込めて聞いてみる 「……何で」 「手、汗ばんでる」 「……緊張してるだけ……」 「……そっか」 ふふって笑みがこぼれる 期待、外れなかった 今度は、僕の方から会いに行くね 電話もするね だって、やっぱり、君のことが大好きだもの

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