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第42話 「だって君は」
だって、君は俺の君じゃない
どんなに強く欲しても、君は絶対に俺のものにはならない
「おれには君がいればそれでよかったのに」
そう呟いて、やっと目の前のその人に気がつく
静かに涙を流して、そっと苦笑したその人は
なんでそんなに悲しそうに笑うんだ
なんでそんな傷ついたような顔をしてるんだ
誰を想ってそんな顔をするんだ
「ばかみたい」
知ってるよ
おれは馬鹿なんだ
しょうがないだろう
君が欲しくてたまらないのに
離れていくのが怖くて何も言えないでいる
今の君の顔が、おれを想ってする表情だったらいいのに
そんなばかみたいなことを、おれはいつも考えてる
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