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第2話

 大勢の、人、人、人。  誰もが目を輝かせて、笑顔で歓声を上げている。  ダメだ。  気持ち悪くなってきた。  こんな所へ来てしまったことを後悔しつつ、秀一は逃げるように広場を後にした。  まだ、治らないのかな。  そんなこと、自分自身が一番よく知っている。  それでも、会社からもらった休職期間の3ヶ月は、間もなく終わる。  イヤでも職場復帰しなくてはならないのだ。  3か月間のんびりさせてもらったつもりだったが、復職を思うと途端に焦りが生じる。  できるかな。  頑張れるのかな。  憂鬱な足取りで夜道を歩いていると、ふいに背後でがしゃんと物音がした。

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