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第8話

 風呂上がりの慶は、眼を見張るほど変わって見えた。  無精髭はサッパリと剃られ、日に焼けた顔色が良く見える。  伸ばしっぱなしの癖のある洗い髪をざっくりと手櫛でオールバックに整えていると、何だか品が良く見える。 「あぁ、気持ちよかった!」  風呂まで貸してもらって、ありがとう。  頭を下げる、慶。  これで何度目のありがとう、だろうか。  きっと、この後もこの言葉を聞くことになるだろうが。 「疲れてるだろうから、もう寝てください。寝室、こっちです」 「いやいや、ソファで充分だよ」  何度か押し問答をした挙句、慶は折れた。 「じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとう、秀一くん」 「どういたしまして」  

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