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第31話

 武士の情けで、係長の体は公園のベンチに寝かせておいた。  人目に付くここなら、警察が保護してくれるだろう。 『何なら、致死量飲んでも構わないさ』  慶の言葉が頭をよぎったが、それもやめた。  殺人者には、なりたくない。  僕を仲間に入れてくれた、慶さんのためにも。  秋も深まって来た。  夜風は、冷たい。  早く帰ろう。  温かい、家へ。  慶さんの、元へ。  秀一は、足早に公園から立ち去った。

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