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第32話
翌日、係長は会社に出て来なかった。
朝礼で課長が、難しい顔をしてその場の社員に通達してきた。
「小金(こがね)係長は、重度の貧血でしばらく休職します。皆さんも、健康には充分留意してください」
皆、顔を曇らせたが、心の中では大喜びしているはずだ。
これで職場環境が、劇的に改善されると。
秀一も、晴れ晴れとした心地だった。
何もかも、慶さんのおかげだ。
次の受診日、心療内科の医師には、ストレッサーである係長がいないので、随分調子が良くなった、と伝えた。
薬の量も減ったし、誘眠剤にも頼らなくてもよくなった。
秀一の鬱病は、確実に快方に向かっていった。
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