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第14話

 嫌に笑う奴に言い返すこともできずに、俺は訪れるだろう快感に備える。  「...んんっ、...ふぅ、んぁ...ん、」  前をシゴかれながら再び後ろを犯される。  絶対に声なんか出さない。これ以上惨めな思いはしたくない。  しかしこの思いもすぐに打ちのめされてしまう。  「ふっ、ぁあっ...い、嫌...あっ、や...あぁっ!」  「あーあ、あっけないの」  奴は先ほどと同じように中を激しく突きあげてきた。  だけど違うところがあった。  「ここ、突かれると気持ちいいでしょ?気持良すぎて声なんて我慢できないよなぁ、」  奴が言う“ここ”。そこは指で突かれた時に俺がひどく快感を感じた場所だった。  そこを執拗に何度も何度も突き上げては押しつぶし俺を高めていく。  「先走りでぐしょぐしょだな。こんな垂れ流してさ」  「あぁっ、ぁ、やめっ、やめろっ...んぁ、あぁっ嫌だ、ぁ」  「そんなこと言ってるけど、本当にいいの?こんな状況でやめても」  激しい動きを繰り返し中を抉りながらせなかのいたるところに吸いついては舐められる。  フッ、と息がかかり体と矛盾したことを言う俺を奴が笑ったのがわかった。  悔しい...っ。俺は女じゃない、男なのに...なのにこんな... おかしいくらい気持ち良くて、反応もして、  先ほど一回、中出しされたことによって突き挿れるたびにぐちゅぐちゅと いやらしい水音がし、その音が余計に俺を煽った。  おかしい...おかしいんだ。こんなの普通じゃないっ。こいつも...俺の、体も...っ。  「んん、ぁ...ぁああっ!」  深く抉るように一点を突かれ、前の俺の先端の窪みを爪で引っ掻かれた瞬間、目の前が白と黒でチカチカとした。  今まで感じたことのないほどの射精の快感に体が震えた。  そのことによって後ろの中にある奴のものがきつく締まらされたのか、奴も後を追うように俺の中へ2度目の熱を放った。  吐精しながらも、全てを出し切るかのようにうゆるゆると俺の中を擦り出し入れる。  射精したばかりで敏感になっている俺の体はそれにさえ反応してしまい口から小さな喘ぎ声が漏れる。  やっと終わったーーー 快感をかみしめながらもこの行為の終わりへの兆しが見えて俺は安堵し深く息を吐いた。  それから数十秒。満足したのか叶江は腰を打ちつけてくるのをやめた。  しかし、なかなか中から出そうとはしなかった。  まさか、そうは思いながらも奴から離れようと、結合部である腰を下げ少しずつ自分で出そうと試みる。  「...ふ...ぅ、...あぁっ!」  途端、腰を掴まれ思い切り突き挿れられた。  ...熱を失ったはずの奴のものは、先ほどのことも関係ないかのように熱く、熱を帯びてきた。  「なぁ、あと何回ヤればお前は前をいじらなくてもイけるようになると思う?」  体の向きを変えられ、正面に迫る奴の顔はひどく、歪んで見えた。

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