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第35話

 やわらかな光が射しこみ、自然と瞼が開く。  「...ん。どこだ...」  しかし、目を開け視界に入った部屋は見慣れない場所だった。 起きたばかりで頭が回らず余計に混乱する。  「あっ、痛...っ」  身体を寝かしていた、白いベットから立ち上がろうとすれば体中の節々が痛んだ。  そしてその痛みによって、俺はあの最悪な行為の夜を思い出した。  独特な臭いが充満する部屋の中、抵抗することもできずに長時間行われた羞恥の数々。  もう理性が飛んだのか、途中からの記憶が残っていない。それだけ強い快感が俺を支配していた。  今でもあの時の感覚を覚えている。 ...気持の悪い、他人の...クソみたいな奴らの体温が残っている気がした。  「クソっ、まだ取れてねぇし...」  あの夜のことを考えていたくなくて、紛らわすかのようにあたりを見回すと首を動かすごとに金属の擦れる音がそこから聞こえた。  首にひたり、とフィットした革製の首輪。それはベットと短い鎖で繋がっていた。  こんな首輪なんかで繋がれて、服も何も身につけてなくて...まるで本当に犬のような扱いをされているようだった。  そんなことを考えて、不意に俺はあることに気がついた。  服を着ていなく、首輪をしてるというところは変わらないのだが、 あの三人との行為によって汚れた俺の身体は今、きれいになっていた。  中に出されたはずのあいつらのあれも何もない。  まさか叶江がやったのか...?俺が気を失っている間に...  しかしあの叶江が他人の世話などするだろうか。 ...まぁ、いい。誰がやったにしろ俺としては助かったことに変わりはないのだから。  それよりも今は一体何日なんだ。俺と宵人が離れてどれほどの時間が経ったのだろうか。  早く...早く戻らなくては。一秒でも早く宵人の元に...  今の宵人は酷く不安定な状態なのだ。一人にしておけば何が起こるかわからない。  俺がそばにいなくては...。  しかし今の俺の状態ではここから出ることは不可能だ。 ここから出て宵人の元に戻るには....悔しいがあいつ、叶江に頼むしかない。  きっとここは叶江の部屋の一室だ。 あの三人といたあの部屋とは違い、物がなく殺風景な部屋だがそんな部屋のせいもあって ここを出るために使えそうな道具も何もない。  部屋にあるのといえば、大きめのソファとモノトーンな机。そして俺が今いる簡素なベットくらいだった。  叶江...叶江はどこにいるんだ。早くあいつにここから出してもらわなくては...  あぁ、宵人。宵人宵人宵人。お前は今何をしているんだ。俺を探している?寂しくて泣いている? ...思いつめて、自分を傷つけている...?  お前は俺がいないとダメなんだ。そして...俺もお前がいないと...ダメなんだ。  俺たちはお互いが必要不可欠だ。 声が聞きたい。笑顔が見たい。早く宵人に会いたい...会わなければ。

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