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第52話
「わぁ、弥生が頼んだのおいしそう。僕に一口ちょうだい」
「俺も食べたぁい!弥生...俺にあーんして~」
「えー、僕もしてほしい!弥生、僕にもして」
「いやいや、2人とも自分で食べなよ。僕のは好きなだけ食べていいからさ。...って、何、和史のそのフォークに刺さったお肉は、」
「食べろ」
「え?...うーん、じゃあ遠慮なくいただきます」
「あーっ!いいないいなぁ、俺もやる~~っ」
「僕も!」
―
――
―――
「...チッ」
幸せそうな4人の姿。食堂に着き、すぐに俺は奴らの姿を見つけた。
沙原弥生を囲むようにして、左右にそれぞれ座っている永妻に綾西、そして沙原の向かいに座るのは香月。
明るい口調に笑い声、朗らかな笑顔。
それらは全て今の俺には“作りもの”でしかできないものばかりだった。
宵人のことなど頭に無いように幸せそうな雰囲気を出す奴ら。...いや、きっともう気にしてもいないのだろう。
今のところ宵人のことを心に留めているのは綾西ただ1人。でも、あいつも俺と同じような人種だ。
俺に責められたことによって内心焦り、不安を埋めるかのようにして必死に沙原に縋ろうとしているのだ。
...俺が宵人を酷く求めたように、
「楽しいのは...幸せなのは今だけだ。すぐに1人ずつ堕としてやる」
表情もなく4人を眺めてから、俺は接触するため計画通り動きだした。
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