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第55話※
晴紀の名前も出されたせいか、横目に晴紀を見れば青白くなった姿が目に入った。
やめてやめてやめてっ!!俺のきれいな弥生に変なことを言わないで!汚さないで!
俺の負の部分を弥生が知る必要無いんだっ
まさかとは思うが、今この場で千麻があの日のことを言ってしまうのでは、と思うと気が気じゃなかった。
それは青白くなっている晴紀も同じ気持ちだと思う。
「そうだったんだ!...あ、そうだそれより今はそれどころじゃなかったね!今からちょっとトイレに行ってその汚れ少しでも―――」
――ガンっ!!
突然響く机を強打する音。音の発信源は晴紀でも千麻でもなく.....和史だった。
「弥生から離れろ下衆野郎...」
少しずつ千麻に近づいていき胸倉を掴んで弥生から引き離す。
演技かどうかはわからないが、千麻は眉をひそめ苦しげに息をもらした。
「何やってるの和史!!乱暴にするな!」
すぐに弥生はそんな和史を止めに入ろうとするが、漸く動きだした晴紀に抱きつかれるようにして動きを止められる。
「弥生、落ち着いてっ」
「晴紀離して、それに落ち着くのは和史の方だ。相手は何もしてないのに...っ」
弥生は晴紀を身体から離そうとするが、晴紀もべったりとくっついてしまっていて中々離れない。
俺は何もできないままその光景を眺めていた。
恐怖と嫌悪が俺の中を交互にせめぎ合い、冷や汗が頬をつたう。
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