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第120話※香月視点

 ― ダメだ。足りない。全然足りない。  最後に千麻とヤってから数日。異常な性欲が俺を追い込む。  あれからどんなにセックスをしようと、誰としようと満足することができず消化不良のまま情事を終えていた。  挿入しても中々イケず、先走りを零すのみの自身。  ― 千麻と寝てから俺の体はおかしくなった。  勃起するのさえ、時間がかかる。  自らの体の異変に苛立ちが募る毎日。そのせいで無意識に起こる足の揺すり。それは夕食をとるための席の場でも関係なく起こる。  右隣に座っている弥生は夕食のコースディナーが楽しみなのか先程から晴紀とその話で盛り上がっている。  だが、香月は会話に参加せずただただその会話に耳を傾けるのみ。今の気分のままだと、へんに口を開けば苛立ちを弥生にぶつけてしまうかもしれなかった。  「あっ、こっち!こっちだよ」  不意にレストランの入り口に目を向けた弥生は目を輝かせて立ち上がった。何事かと思って後ろを振り向けばこちらに近づく2人組が視界に入る。  「ごめんね、遅くなっちゃって」  そう言い俺の左隣に座ってきた千麻は朗らかに笑い、5人用の円卓テーブルの残り1席、晴紀と千麻の間の席に泰地がつく。  悩みの原因である千麻が現れたことにか、突然に先程までうるさくなっていた足の揺すりが止まる。しかし、千麻の隣にい座り続ける泰地の存在によって俺の機嫌はさらに悪化した。  「でね、愛都君。明日の自由行動の時間よかったら一緒に過ごさない?和史と晴紀と僕と...皆で、」  「本当?嬉しいな。綾西君も一緒でよかったらぜひその中に入りたいな」  “綾西君”その言葉に反応したのは俺だけではない。  隣にいた弥生。笑みは浮かんでいたがその瞬間、眉がピクリと不快気味に動いたのを俺は見逃さなかった。  「もちろんだよ!そうそう、愛都君はどこに行きたい?気になるところ教えてよ」  「うーん、俺はどこでもいいよ。沙原君方と一緒に行動できるなら」  「ッ、僕も愛都君がいてくれたらどこでもいいかも....なんて、」  そう、どこか千麻贔屓をする弥生。しかし今の俺はそのことにたいして嫉妬などはしなかった。  先程から睨みをきかす晴紀は違うようだが...  確かに俺は弥生のことが愛しいと思っている。だがそれ以上にある別の感情が俺を支配する。  千麻の仕種、声、全てに意識を持っていかれていた。

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