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第3話
尊は、女装が好きだった。
幼い頃、姉に着せ替え人形のように女児の服を着せられていたからかもしれない。
ふわふわのチュールスカート、美しいレース、手触りのいいベルベットリボン……。
こんな服が、いつまでも着られると思っていた。
姉のように、ちょっぴり大人っぽい衣装も着られるようになると思っていた。
だがしかし。
ある日を境に、姉は尊をお人形さんにするのをやめてしまった。
母に、叱られたのだ。
「尊は、男の子でしょ。もう小学校に上がるんだし、いつまでもオモチャにしてちゃいけません!」
チュールも、レースも、ベルベットもない、男児服。
尊は、不満だった。
そして、不満をかかえたまま高校生になった。
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