「限界だ……！」 　尊の女装願望は、とうとう爆発した。 　しかし、母や姉の服を着ることは危険だ。 　自宅で、しかも家人の服を拝借して着ている最中に、部屋に入られたら弁解の余地がない。 　家長の父を中心に据え、重苦しい家族会議が開かれることになるだろう。 　尊は小遣いを貯め、自分の通う高校の女子制服を通販で買った。 　生徒会選挙に立候補し、副会長の座を射止めた。 　生徒会室に入ることができれば……！ 　一人で居残りする機会があれば……！ 　校内という最高のシチュエーションで、思いきり女装ができるのだ！ 　万が一誰かに見られても、遠目では女子が居る、くらいにしか見えない。 「完璧だ！」 　そして今、女子制服に身を固めた尊は、思わず声を上げていた。