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第29話

 あまりにも急な話に、尊は声を失った。 「初めてがレイプだなんて、俺、耐えられなくなったんです!」  本当に、斎藤さんのことが好きだった。  でも、好きだからと言って、チャンスだったからと言って、無理に犯すなんて。 「俺、反省してます。すみませんでした!」 「もういいよ」  顔を上げてくれ、と尊は海斗の傍にしゃがんだ。  過ぎたことだし、ケジメはつけてくれたし。 「何より、今こうして仲良くやってるじゃないか」 「斎藤さん……ッ!」  海斗はそのまま、尊に抱きついて来た。  頬を摺り寄せ、キスをしてきた。

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