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第1話
「やめてください!」
恐怖に駆られ、雨宮 吉乃(あまみや よしの)は叫んでいた。
ジーンズを下げられ、素肌の腰に迫ってくるのは、この部屋の主・江頭 剛(えがしら ごう)だ。
「誰か、助けて!」
「このマンションは、完全防音だ。いくら叫んでも無駄だぜ」
とろりと落ちるローションの冷たさに、鳥肌が立つ。
「け、警察に訴えます!」
「俺の部屋に入った時点で、合意の上だ」
そんな馬鹿な。
ならば、と足掻いた。
しかし江頭は、ラグビーの特待生で入学してきた男だ。
力では、到底かなわない。
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