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第1話
「絶対に何があっても必ずお前の元に
帰ってくるから!」
そう言って旦那は戦に行った。
その時既に戦はピークを過ぎていた。
こんな隣村まで2日掛かる様など田舎に
招集が掛かる位だし余程の人手不足
だろうしこの国負けるんだろうなと
思いつつ、それでも行かなきゃいけない
事に悲しくなる。
村から何人かの男手がそうやって
うちの旦那と共に戦に出て行って
1年半程してやはりこの国は敗戦し
招集された者達が帰ってくるという
知らせが来てから半年。
うちの町の男手達が帰ってきた。
家族はみんな村の広場で再開を
喜び合っていた。
中には負傷により足を引きずる者も
いるようで段々と不安になってきた。
そんな中帰ってきた中に隣の家の
旦那が僕に気づいて声をかけてきた。
「アル!久し振りだ!!」
「うん!ガトーさん無事でよかった!
怪我は?」
「俺はないよ!運が良かった!!」
「そっか。良かった!...あのっ」
「エッエドのことだよ...な?」
「うっうん。見当たらなくて...」
そう言うとガトーさんはとても
言いにくそうな顔をしていて僕は
最悪な想像をして血の気が引いた。
「まっまさかっ!!」
「いやっ!!まて!!帰ってきたっちゃ
帰ってきたんだ!一緒に」
「じゃっじゃあ!!」
「いやっけどなぁ〜無事かっちゅーと
どうだろうなぁ」
ガトーさんの言葉に僕はエドが大きな
怪我をしてるのかと喜びきれない気持ちで
言葉が出なかった。
すると後ろからざわっざわっとした
村の人の反応に気付き振り返ろうと
したとこで懐かしい声を聞いた。
「アル!待たせてごめん。けどちゃんと
帰ってきたよ!!」
その声に嬉しさがこみ上げ涙が出そうに
なるのを堪えながら振り返って
「はっ!?」
僕は絶句した。
エドはいた。確かにいた。
しかし記憶にあるエドは褐色系では
あったけれど、こんな灰色がかった
肌色はしていない上にこんな禍々しさ
はなかった。
色んな感情と涙は瞬時に引っ込み
僕から表情が消えた。
後ろでガトーさんや他の帰還者の
あちゃーやっぱなーみたいな声が
遠くで聞こえるがどうでもいい。
僕は言いたい。
「お前何!?」
するとエドらしき人物は懐かしい
満面の笑みで言った。
「1回死んじゃったけどさ
絶対帰るって約束したからさ!
こうやって帰ってきたよ!!
アル!待たせてゴメンな!!」
村はシーンとした。
僕は言われた言葉を理解するのに
しばしかかった。
どういうことだと問う様にガトーさん
達を見たらだって帰りたいって言うし
ちょっとチガウけどエドだし等と
ボソボソ言っていた。
その間にもエドらしき人物は僕に
よってきて抱きしめようとする。
それに反射的に反応して手を払う。
そして息を吸い込み僕は叫んだ。
「お前アンデッドじゃねぇえかぁぁ!!」
「はははっ!!アルが喜んでくれて
嬉しいよ!!頑張ってよかった」
「頑張る方向性が違うわボケェ!!
アンデッドで帰って来るとか
お前馬鹿か!!!」
「え!?だって俺絶対帰るとは
言ったけど自信ないから生きて
帰るとは言わなかったじゃん?」
などとあっけらかんと言うアホにどう
対処していいか分からず周りを見ると
村の連中は目をそらし家に帰って
行った。
どうしていいか分からず頭真っ白に
なった僕を抱えてエドはご機嫌に
「俺達も帰ろうぜ」
と言って頬にキスをした。
そこから僕は記憶がない。
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