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第10話
マシュマロの溶けた温かいココアを楽しみながら、久々に二人きりでお喋りをした。
「こないだの模試、第一志望の判定どうだった?」
「一応、A判定。でも、まだ油断はできないな」
「すごいよね、伸彦。一流大学の、しかも航空学科だから」
でも、と伸彦の顔が曇った。
「学費がべらぼうに高いだろ? 何だか最近、親に申し訳なくって」
「で、でも伸彦のお父さんとお母さんは、子どもの頃からその準備をちゃんと」
ため息をつき、伸彦はココアを一口飲んだ。
「ガキの頃から馬鹿の一つ覚えで、パイロットになる、って言ってたもんな」
「そうだよ。なろうよ、パイロット」
しかし、伸彦の浮かない表情は晴れない。
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