9 / 35

第9話

 満は寄り道をして、ショッピングモールへ来ていた。  広場には、光り輝くクリスマスツリー。 「伸彦……」  いけない。  せっかくシュウが、三ツ矢先生が欲情した僕を冷ましてくれたのに。 「俺のこと、呼んだ?」 「の、伸彦!?」  何、これ!  昨日と同じ展開!? 「お前、よっぽどこのツリーのこと、好きなんだなぁ」  笑う伸彦がイルミネーションの光に彩られ、まぶしい。  満は、慌てて気のない返事をした。 「伸彦こそ、昨日も来てたじゃん」 「俺は、塾の帰り道だから」 「塾、って。終わるの早くない?」 「先生がインフルエンザにかかっちゃって、休講」  せっかくだから、一緒にカフェにでも寄ろうぜ、との伸彦の誘いを、満は断ることができなかった。

ともだちにシェアしよう!