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第12話

 金か。  携帯から発せられた三ツ矢の声は無機質だったが、第二声には明らかに呆れの色がかかっていた。 「人間界では、いまだに金の力に右往左往する者がいるのだな」 「仕方がないよ。お金は命の次に大切なものだから」  ありがたくもない話だ、と三ツ矢は笑った。 「事情は分かった。私が何とかしよう」 「何とか、って?」  とりあえず、と区切った後、流暢な言葉が流れた。  まるで台本を読んでいるかのような、三ツ矢の提案だった。 「ミチル、お前は明日の夕方、伸彦の母親に宝くじを買うように誘え。俺がそれを、当たりくじになるようにしてやる」 「そんなことできるの!?」 「光の国に要請すれば、可能だ。くじの操作など、簡単だ」

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