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第13話

 この人間界の偶然も必然も、全て光の国の匙加減で決まるのだ。  三つ矢の言葉を反芻しながら、満は翌日の夕刻に伸彦の母をスーパーで待ち伏せた。  そして、偶然を装って必然のセリフを切り出した。 「こんにちは、おばさん」 「あら、満くん! 久しぶりね~」  たまには、また遊びにいらっしゃい、と言ってくれるこの女性に心から感謝しながら、満は胸に仕込んだ策略に彼女を誘った。 「今から僕、宝くじ買うんですけど。よかったら一緒に行ってくれませんか?」 「私が?」 「占いに、女性が一緒だとラッキーなことが起きる、って書いてあったんです」 「うふふ、面白いわね。いいわ、行きましょ」  大型チェーンのスーパーなので、ATMはもちろん、クリーニング店などのサービスも充実している。  宝くじ売り場も、そこに設けてあった。

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