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第14話

「僕はスクラッチにします。おばさんは?」 「私? 私は、いいわよ~。どうせ、当たらないんだから」  しかし、その場で満がスクラッチくじをこすって見せると、彼女の目の色が変わった。 「やったぁ! 2等・3万円ゲット!」 「本当!?」  ほくほくと当たりくじを手にして満面の笑みを浮かべる満を見ていると、もしかして当たるかもしれない、との気持ちが沸き上がる。 「わ、私も買ってみようかしら」 「せっかくですから、年末ジャンボにしたらどうですか?」 「そうね!」  300万円当たったら嬉しいわ、などと小市民的な笑顔で彼女が買った宝くじは、12月31日に伸彦の運命を変えるものになるのだ。

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