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第33話

「好きだ、って言ってくれて、ありがと」 「ぅん?」 「僕からは、まだ言ってなかったよね」  それは言わなくても、解ってるから。  そう笑う伸彦に、満は思いのたけをぶつけた。 「好き。大好き、伸彦。誰よりも好き。これからも、ずっと好き。いつまでも、好き」 「満……」  満を抱く伸彦の腕の力が、強くなった。 「俺がパイロットになるまで、いや、パイロットになってからも傍にいてくれる?」 「うん。約束する」  でも、と伸彦は急に不安げな顔になった。 「もし、俺がパイロットになれなかったら?」 「嫌いになる」  満~、と情けない声の伸彦を、満は笑った。 「大丈夫。もし伸彦がパイロットになれなくても、僕はちゃんと好きでいてあげるから」 「……ありがとう」  もう一度、キスをした。  二人の、誓いのキスだった。

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