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見守り役で、恋人未満で5

「腰がだるい……」 数年ぶりの朝帰り。俺は、疲れきった身体をシワシワになっていた布団にダイブさせた。 ズキズキ痛む腰。ダルい身体。 そういえば昨日のあれが、俺の初めてだったことを思い出す。 「あぁくそぉ〜……やべぇってこれ。クセになりそう」 あの日。南雲君に連れられ、一番高いラブホに入った俺達は、ずっと抑えていた糸がプツリと切れたみたいに抱き合い。そして触れ合った。 「ぅ、ぅんっーー」 南雲君は、俺に息を吸う暇も与えない深いキスを繰り返し。 「ぅっ、ぁ」 お互い着ていた服を脱ぎ捨てると、汗ばんだ首筋や横腹に赤い印を付けていった。 まるで、自分のものだと唾をつけるように。あちこちに……。 「そうだった」 その記憶が何故か急に蘇り。俺はダルい身体を起こして、服をめくって鏡を見た。 鏡に映る俺の赤い斑点だらけな身体。首や腹だけでなく。胸や背中にまであっちこっちにある。上半身でこれだけあるなら、下半身の方も相当付けられてるだろう。 「ははっ。えげつな……」 大量の赤い斑点に、流石の俺も少し鳥肌が立ってくる。 ここまでくると、もはや怪我だらけ……いや病気みたいだし。 でも、アイツがどれだけ俺を好きだったのかも……なんとなく伝わった気がした。 「俺って、こんだけ好かれてんだな……。俺もいつかはこの気持ちに応えないと、悪いよな……」 「おはようございます西國さん!どうですか?身体は大丈夫ですか?」 艶々な肌をキラキラ光らせながら、朝から元気よく部屋に入ってきた南雲君の姿に、一気に疲れがどっと出てきた。 あんだけヤッたっていうのに、なんでコイツはこんなに元気なのか。 「ねぇ、南雲君。俺の姿ちゃんと見てる?大丈夫なわけないよねぇ?ねぇ?ねちっこく長ったらしくしやがって……この絶倫野郎」 「なに言ってるんですか!西國さんの体力が無さすぎるんですよ!良かったら今度、一緒にジム行きましょう!」 「嫌だよ。だるいわ」 「えぇ~~」と文句を垂れる南雲君を無視して、淡々と身支度を済ませていると。後ろから伸びてきた両腕が、俺の身体をギュッと抱き寄せてきた。 「ねぇ西國さん。俺の事……好きですか?」 いつか聞かれるだろうと覚悟はしていた。 けど今はまだ答えが出せない。うまく言葉に出来ない。自分の気持ちに正直になれない。 きっと俺は今まで色々ありすぎたから、ただ単に怖がってるだけだと思う。 でも。俺の側にずっといてくれるのなら、きっといつかはーー。 「きっと、多分、いつか……好きだと言える日が来ると思うから……それまで、待っていてほしい」 「!!……はい。今はそれで充分嬉しいです」 俺は、まだ誰かを好きになるのが怖い。 でも、ずっと俺を好きでいてくれるであろう彼の側に居ればきっと、俺はこの口で「好き」だと言える日が来るだろう。 それまで俺達の関係はーー。 「友達以上、恋人未満って感じですかね?」 「……」 口にされると、やっぱりこれでよかったんだろうか……と。また新たに悩みが増える俺であった。

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