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第12話
豊が走らせる鉛筆の音だけが、アトリエに響く。
「……」
「元宮くん」
「はい!?」
「息は、普通にしててもいいから」
「あ、うん」
何となく息を詰めていた響は、ふぅと大きくため息を吐いた。
「あ、いいね。その表情。そのままでいてくれる?」
「う、うん」
モデルは生まれて初めての響に気を使ってくれたのか、豊は腕を動かしながら話しかけて来た。
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