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第13話
「今、追及してるのは、飾り気のない表現なんだ」
「へぇ」
「これまで、モデルもプロに頼んでたけど、それじゃ打ち破れそうもなくてね」
「ふ~ん」
「日常に潜む、生々しい一部を切り取りたい」
「なるほど」
正直、響には豊の言う事は半分程度しか解らなかったが、日常と言うのなら確かにプロのモデルでは美しすぎてダメだろう。
だから、僕に頼んできた、ってわけか。
響は頷くとともに、豊の芸術に対する真摯さに感動していた。
(そんな塚本くんが、ケロタンを描いてくれるなんて)
これは、彼が納得のいく絵を描けるまでとことん付き合わなきゃ!
響はひとり、決意を新たにしていた。
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