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第14話

 響が豊のモデルを始めて、早10日が過ぎていた。 「今日こそ、いい絵が描けるといいね」 「ああ……」  力のない、豊の返事。  日に日に疲弊してゆく彼を、響は心配そうに見つめた。 「大丈夫? 塚本くん」 「ごめん。じゃあ、始めようか」  彼の前で素裸になることも、もう慣れた。  さらさらと制服を脱いでしまうと、つとめて明るい声をかけた。 「今日は、どんなポーズでいく?」 「そうだな、横になって」  響はアトリエの床に、肌を下ろした。

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