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第32話
「結婚、してくれるかな。俺と」
「いや、あの、それは。僕たち、まだ未成年だし!」
「じゃあ、結婚を前提としたお付き合いを」
お願いします、と深々と頭を下げる豊。
バケツに活けた、赤いバラの花束を思い出した。
ああ、塚本くんは、自分の罪を曖昧にしない潔さを持っている。
僕は、この人を好きになれるかな。
いや、もう好きなのかもしれない。
ためらう響に、豊は歯切れのよい声をかけた。
「ジャンピング・勇気!」
「OK、ジャンピング・勇気!」
恋人から始めよう、と響は豊に手を差し伸べた。
豊がその手を取り、温かな握手を交わした。
二人の間に、雨上がりの虹の架け橋がかかった。
心の中は、晴れ渡っていた。
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