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第八話∽休日と葵君の悩み事

義父さん(おとうさん)が 入院して葵君が告白され、 その女の人に殴られたり、 紗葵君・大樹君・葵君の 元カノさんに会ったりと 慌ただしかった。 俺の高校時代の元カノは 結婚したと風の噂に聴いた。 季節は巡り、気づけば 今年も後半月となっていた。 寒くなり、炬燵が活躍中。 俺と紗葵君は 真夏と真冬が苦手だったりする。 極端に暑いのと 寒いのが駄目で この季節は学校や、 よっぽど用事が ない限り外に 出たくない。 うちは大樹君と葵君は 社会人、 俺と紗葵君が学生だったりする。 そして、今日は 久々の平穏な休日だ。 『こんなに静かなのって なんだか久しぶりだよね』 定番の炬燵に蜜柑を 再現しながら ポツリと呟いてみた。 「言われてみればそうだよな」 大樹君が考える 仕種をしなが言った。 「確かに言えてんな」 プッと紗葵君が笑った。 『だよね』 あれ? 葵君? 「兄貴、どうしたんだよ?」 紗葵君が訊いても 黙ったままだ。 具合悪いんだろうか? それとも、葵君の 気に障るようなことを 言ったのだろうか? 『大海・紗葵・大樹』 不意に呼ばれた。 「アオ?」 『ん? 何?』 「兄貴?」 上から大樹君・俺・紗葵君だ。 『…………』 また黙ってしまい、 顔を覗いてギョッとした。 何がどうして そうなったかは 解らないけど、 葵君の目には今にも こぼれ落ちそうな程 涙が溜まっている。 『葵君』 名前を呼んで 正面から抱きしめた瞬間 ツーと目から涙が零れた。 『大海』 四人の中では 最年長の葵君。 俺たちの知らない間に 何か溜め込んでたんだろうか? 『どうしたの?』 涙の原因がわからない…… 「兄貴、 何かあんなら 俺たちに言えよ」 葵君は話し始めた。 『たまにな、不安になるんだ』 気持ちは解らないでもないが それを何時から 隠してたんだろう? 「アオ、俺たちは家族だろう。 喧嘩になったとしても 言いたいことは言うべきだ」 大樹君が 少し眉を下げて言った。 『そうだよ、葵君 俺たちは家族だよ』 子供ができなくても 誰かに批判されても 家族なのに変わりはない。 「今度、不安になったら ちゃんと言ってくれよな」 後ろから紗葵君が抱き着いた。 血の繋がりだけが 家族じゃないと思う。 葵君と紗葵君は 実の兄弟だから ある意味間違いじゃないし、 血は水よりも濃いとうけど 俺たちには関係ない。 そう思えば、家族になれる。

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