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第九話∽新年会

クリスマスもお正月も終わり、 六人で新年会を やることになった。 場所は俺たちの家。 「燕、美月さん いらっしゃい」 玄関で二人を 出迎えたのは大樹君。 「久しぶりね大樹、 嫁さんと仲良くやってる?」 秋草さんの そんな言葉が 聞こえて来て可笑しかった。 『燕さん、 迷いませんでしたか?』 二人からコートを 預かりハンガーに掛ける。 「大丈夫よ」 それならよかった。 奥まった 場所にある高沢家は ちょっとわかりにくい。 「美味しそうね」 『俺が作ったんだから 旨いに決まってるだろう』 自信満々の葵君。 「そういえば、 葵は料理上手だったわね」 微苦笑した美月さん。 そっか、葵君の料理、 食べたことあるんだ…… 「大海君、 これ、皆で 飲もうと思って 買って来たんだ」 美月さんがテーブルに お酒の缶を並べた。 『お前はまた、 こんなに買って来て』 呆れた口調で 葵君が言うが 美月さんは気にしない。 「いいじゃない」 お酒好きなのかな? 『余ったら 次飲めばいいんだから とりあえず、 人数分出しとけば?』 打開策として 提案してみる。 「それが一番だな」 美月さんの性格を 知っているだろう 葵君が同意してくれた。 取り皿や箸など並べていく。 結局、買って来たお酒は 全員がザルだったこともあり 残ることはなかった。 流石に、女性二人を リビングで寝かせるわけには いかないから、 客室に布団を敷いた。 『二人とも寝ちゃた』 客室のドアを 閉めて言うと 大樹君と葵君が 二人揃って 「「 悪いな」」 と謝った。 気にしてないのに と心の中で笑った。 「あ〜あ、 紗葵まで 寝ちまってる」 リビングに戻ると 床に大の字になって 紗葵君まで寝ていた。 「しょうがない奴だな」 大樹君が抱き上げて 寝室まで運んだ。 『流石旦那だな』 感心したように葵君が言った。 その言葉に 大樹君の顔が 真っ赤になった。 「しょうがない」なんて 口では言ってるけど、 紗葵を愛おしそうに見ている。 『大海は眠くないか?』 疲れたけど眠くはない。 『うん、大丈夫』 片付けもしなきゃだし。 「んじゃ、片付けるか」 照れてるのを隠すように 俺たちから離れて 片付けを始めた大樹君だけど 頬の赤みは引いていない。 『ゴミ袋取ってくるね』 洗面所に行き、 大きいゴミ袋を 三枚持って リビングに戻った。 一時間後、洗い物も終わった。 『疲れた〜』 俺はドカッとソファーに座った。 「お疲れ。 ほらコーヒーいれたから飲め」 気が利くなぁ。 『ありがとう』 ちゃんとカフェオレだ。 「アオも飲め」 葵君のはブラックだ。 『サンキュー』 やっぱり、俺が真ん中だ。 何時ものことだけど。 『楽しかったね』 片付け終わって、 少し寂しく思ったのは 楽しかった反動。 『そうだな』 「燕たちが 空いてる日に またこうして集まれば いいじゃないか?」 大樹君の言う通りだな。 『そうだね』 今日は本当に楽しかった。 楽しかった気持ちを 忘れられないまま 大樹君は 紗葵君が居る寝室へ。 俺と葵君も 自分たちの部屋に戻った。 『おやすみ、大樹君』 「おやすみ、ヒロ・アオ」 『おやすみ、大樹』 時刻は午前一時半。 朝までは、 まだまだ時間がある。

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