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お前に全く興味ない!!!

第一話◎嵌められるわけがない 「イヤァァァァ!!!やめて!!!」 俺、なんもしてないけど 葛山の罵りから 分かったことは こいつが春也が好きで 学校公認で恋人の俺が 邪魔だったということ。 部室にある ロッカーの上に 座りながら 遠くから数人が 走ってくる音を聞きいた。 バン!!! 「何があった?」 ドアは静かに開けようぜ。 うるせぇよ…… 入って来たのは こいつの想い人で 俺の恋人の春也だった。 『奏音、これ どういう状況?』 春也の質問は尤もだな。 物が散乱した部室。 ブラウスが破けたままの葛山。 ロッカーに座ってる俺。 どう見たって 混沌(カオス)でしかない。 信じるか信じないかは 春也の勝手だけどさと 俺は話し始める。 ※葛山に呼び出されたこと ※来たら 既にこの状態だったこと ※葛山が俺を 邪魔だと言って 自分で ブラウスを切り裂いたこと ※そして、今に至ること 全て話した。 春也に説明してる間に 他の生徒も来た。 後の方に来た 名前も知らない 男子生徒に殴られた。 まぁ、学校公認と言っても 知ってる生徒は極少数だし、 ちらっと見えた上履きからして 二年生だろう。 「楠木先輩、最低です」 いや、何も聴かずに 殴るお前も最低だ。 『奏音大丈夫か?』 春也が俺の 殴られた頬に手を当て 心配そうに聴いて来た。 「大丈夫だ、ありがとうな」 そのやり取りを 見ていた葛山と 俺を殴った後輩は 黙ったままだ。 最後に来たのは 野々上先生だった。 部室の状態と 俺達を見て ため息を()いて謝った。 「柿沢、楠木 義妹が悪かったな」 別に野々上先生は 何も悪くない。 『お前は悪くないだろう』 俺を抱きしめながら 春也が言った。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-* 第二話◎謝罪と奢り 俺達に謝った後、 キャミソール姿の葛山に 上着を着せ、左頬を ビンタした野々上先生。 「先生、何も 叩かなくてよかったのに」 いい音したから かなり痛いだろうなぁ…… 葛山を庇う気は さらさらないが あいつも一応女だかな 腫れたりしたら嫌だろ。 「これくらいが ちょうどいいんだよ」 そう言って、 俺達の方に戻って来た。 「奢るから飯行こうぜ」 この部室の状態は…… まぁいいか。 今、俺達は野々上先生の 車の中に居る。 まぁいいかと 思ったものの やっぱり、気掛かりだ。 「先生、 あの状況で出て来て よかったんですか?」 そうやって聴くと しれっと 答えが返って来た。 「芳乃に やらせりゃいいんだよ」 運転しながら 振り返りもせずに言った。 まぁ、あの状況を 作り出したのは葛山だし 周りに人も大勢いたから どうにかなるだろうけど やっぱり、釈然としない。 「着いたぞ」 俺が一人 物思いに耽ってる間に 目的地に着いたみたいだ。 野々上先生が 車を停めた場所は 回転寿司だった。 幟には【マグロフェア】と 書いてあった。 回転寿司なんて 久しぶりだなと 春也が言った。 俺も久しぶりだな。 最後に来たのは 一年前に家族で 来たっきりだ。 「ほら降りた降りた」 急かされながら 車を降りた。 「好きな物食えよ」 テーブル席に座って 野々上先生が言った。 「俺、沢山食いますよ?」 見た目に反して 俺はよく食う方だ。 「大丈夫だ 気にせず食え食え」 やったー 男三人で来る回転寿司。 客は思いの外 あまり居なかった。 魚好きの俺にとって 回転寿司は楽園だ。 『奏音、 目がキラキラしてるぞ』 ぅ゛っ、 顔に出てたらしい。 「俺が魚好きなの 知ってるだろう?」 此処は、開き直る。 「へぇ~ 楠木は魚好きなのかぁ」 テーブル席に案内され、 俺と春也が隣同士で 野々上先生が 向かいに座った。 普段、あまり話さない 野々上先生と 話せて楽しかった。 「へぇ~ あいつが柿沢のことを 好きだったなんて 全然知らなかったぜ」 話した内容には さっきのことも含まれている。 「俺もさっき知ったよ」 眉を下げて苦笑いな春也。 「けど、あいにく 俺は女に興味が ないんでね どっちにしても あの子の気持ちには 応えられたかったんだよ」 そう、俺も春也も 女を愛せない…… 「そうなのか。 お前らのことを知れて嬉しいよ」 野々上先生は 軽蔑しないんだな。 「改めて言うのもなんだか変な気が するが、これからも仲良くしてくれ」 面白い先生だ。 今日はこれで解散ってことになり 来た時と同じ様に野々上先生の車で 春也ん家まで送ってもらった。 「また明日な」 そう言って、帰って行った。 次の日、 部室は片付いていたから まぁいいかと思った。

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