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【デートプラン】5※(完)
細い体躯を捩り、痛みと共に走り抜けるらしい快感で虚ろになった由宇の瞳から次々と涙が流れ落ちる。
気持ちいいと悦に浸ったうわ言を零し、それでいて「やだ」と拒絶する由宇の口癖は、橘の性欲を否が応でも駆り立てる。
「あっ……ぁ、んっ……ん、ん、んっ……はぁっ……せんせ……っ、きもちぃっ……せんせぇ……っ」
甘えたような高い嬌声も、未だに「先生」と呼ぶ背徳に満ちた淫らな単語も、いちいち腰に響いていけない。
毎度壊しそうになる細腰を掴み、太腿に走る傷痕をさらりと撫で、卑猥に蠢く内襞に激しく性器を突き立てる。
滑らかな肌のあらゆる箇所を噛んでいると、一昨日の跡に行き着いてニヤリとほくそ笑んだ。
「体中傷だらけだな、ポメ」
「んや……っせ、んせが……つけたんだろ……! あっやだ……っ、そこきもちぃっ」
「こんだけ歯型があったら浮気は出来ねーな」
「しな、い……! そんなの、しない!」
「ふーん?」
「せんせぇ、好き……っ、ふーすけせんせ、好きっ……おれ、先生しか、いらない……っ」
「……フッ。 上出来」
ベッドの軋む音と挿抜音が同調する。
由宇は橘に腕を伸ばし、顔をくしゃくしゃにして泣きながら恍惚の台詞を吐露した。
心底可愛い橘のペットに覆い被さると、「由宇」と耳元で名前を呼んでやる。 それだけで全身から橘への好意を溢れさせてきて、さらに可愛いと思った。
前立腺と精嚢を亀頭で擦り上げ、くたりと寝かかった由宇の性器から三度目の熱が放たれる。
しかし橘は、挿抜をやめてやらない。
手荒く体位を変え、汗ばんだ首筋に噛み付いて腰を振った。
いくつも濃い鬱血の跡を残し、度重なる快感と痛みで震える由宇は橘の腕や背中に引っかき傷を残してゆく。
体が傷だらけなのは由宇だけではなかった。
恋人を痛め付ける趣味はないと断言出来るが、由宇の痛がる姿や悶えて狂い泣く表情に異常な興奮を覚えるので、他人が聞けばそのような断言などあてにならないと言われるのかもしれない。
「あぁぁっ……やば、っ……せんせ、やばい、出そ……やば、い……!」
「何が出そう? もうイくのは無理だろ」
「ちが、っ……ちがうの、出る……っ」
「いいじゃん、出せば」
息も絶え絶えに訴えてくるのは、精嚢を刺激され過ぎた故の尿意だろう。
そのために大判のタオルを何枚も用意して、借り物のベッドが汚れないよう細工もしたのだ。
ここでの初めての我慢プレイ以来、橘の中に眠っていた性癖が一つ増えてしまい、由宇はこれだけは何とかならないかといつも不満を口にする。
だが見たい。
放出中は絶妙に緩み、数秒後には絡み付くように内襞をうねらせながら締め付けてくる、無意識の妙技をまた感じたい。
「あっ、あっ、あっ、だめだってば……! だめ、やだ……っ、んあぁぁっ───」
「…………く、っ……」
うつ伏せにした由宇の股間にタオルをあてがう。
体を震わせて失禁した由宇を、休むことなく貫いていた橘も妙技によって射精を急かされた。
「も、う……信じらんない……先生、変態化してる……」
思ったほど濡れていなかったタオルを床に落とすと、由宇がじとりと橘を振り返り、捉える。
「なんとでも言え。 お前はそんな俺が好きで、俺は漏らすお前が好き」
「えぇ……普通に言ってよ……素直に喜べない……」
「しょうがねーな。 由宇、こっち向け」
「んあっ……」
ぐちゅ、と自身の放った精液を掻き出すように性器を抜き差ししながら、毎度橘の性癖に付き合わされてイジけた由宇を強く抱き締める。
次第に熱量を取り戻してきた巨砲で再び貫き、耳たぶを甘噛みして囁いた。
「好き」
「…………っ!♡」
「ホワイトデー奮発してやるって言っただろ。 由宇、好きだ。 好き。 好き」
「え───! え、え、え、っっ」
「好き。 好き。 愛してる」
「ちょっ……先生、うわ、先生っ、照れるからあんま言わないでよ! あーでもやっぱ嬉しい! 俺もっ! 俺もふーすけ先生大好き!」
繋がったままの体を起こした橘は、由宇の好意に気を良くしてベッドから下りた。
由宇を抱き上げて少しだけ移動したのは、カーテンを開けてプラネタリウムよりも美しい天然の星空を見せてやるためだ。
時間の経過と共に深くなる夜空が、まるで自身の由宇への気持ちを表しているようで橘も数分はその景色に見惚れた。
「───いま俺、二年分くらい言ったよな? 次は二年後だな」
「えぇぇぇっっ!? そんなぁ……!」
「フッ……」
ジタバタと手足を動かす由宇をベッドに押し倒した橘は、それが照れ隠しであると悟られぬよう、またもやうつ伏せにして愛した。
こうも想いが深まると、軽率に言ってしまいそうになる。
橘はその夜、「好きだ」と言うのを精一杯我慢した。
【デートプラン】終
風助×由宇♡*ℋᵅᵖᵖᵞ*White Day*♡
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