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第1話
気がついた時には既に俺の世界は三つの色で構成されていた。
黒と白、それから赤。
そして、俺の手はいつも真っ赤だった。
―ドォォォン
―パチパチッ
―ギャァァア
辺りに充満する火薬と人の焦げた匂い。
すぐ側を掠めていく銃弾。
じっとりとまとわりつく様な熱。
何時からか重みを感じなくなった鉄の塊、銃。
-ジジッ…コチラ ホンブ サンハン オウトウ セヨ…
「こちら3班。何か。」
-センキョウ ノ ホウコク ヲ
「異常なし。」
-リョウカイ シタ。ヒキツヅキ ニンム ニ アタレ…
「承知。」
生い茂った草木の間をゆっくり進む。
こういう場所は自分たちの姿を隠してくれる代わりに敵の姿も隠してしまう。
自分が何のために班の先頭を歩かされているかも分からずに、意気揚々と進む部下の兵士の背中を見ながらじりじりと進む。
部下と言っても、自分とそれ程歳は変わらない。自分の周りにいる兵士達は皆同じくらいの歳だ。
俺たちは所謂少年兵。
生きる意味も死ぬ意味も知らない、ただの捨て駒。
緊迫した状況は、常ながら、慣れることはない。じっとりとした熱気に汗が首筋を伝う。ちょっとした物音も聞き逃さないように、全神経を働かせ、ゆっくりと進んでいく。
どこに敵が潜んでいるか分からない中で、精神だけがすり減らされていく。
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