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第2話
部隊の進行が始まってどれほど経ったろうか。木々の間から見える太陽は、既に頂点を過ぎている。相変わらずの暑さに武器を持つ手が滑りそうだ。周りの兵士たちにも連日の疲労が見える。
ふと、自分たちの音とは違う足音が聞こえた気がした。
ーパンパンパンッ
気のせいかと思った後の三発の銃声。そして、部隊の先頭を歩かされていた奴が小さい悲鳴をあげて倒れていくのが見えた。
咄嗟に銃を構え、銃声のした方に構える。部隊全体に緊張が走り、俺の喉もひどく乾いていた。
そして、絶望に気付いた。
体の向きを変えずに見える視界の中には、木々の間から敵の気配がする。そしてそれは、自分たちを囲むようにしているようだ。
たった10人ほどの子どもとその倍以上の人数差。勝負は見るより明らかだった。
背中を冷たい汗が伝う。
乾いた笑いが小さく漏れた。
「ここが俺の墓場か」
ゆっくりと目を閉じた瞬間、たくさんの銃声と鈍い痛み、子どもの悲鳴が耳を劈いた。
ゆっくりと体が傾くのが分かる。ぼんやりとした視界端には血だらけになりながら銃を撃つ少年兵の姿が見える。
あぁ、彼とは一番話をした気がする。
そんな呑気な事を考えている間に、体に衝撃がはしった。
そこで俺の意識は途切れた。
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