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第3話
物心ついた時には既に少年兵としての訓練を積んでいた。訓練と言っても、軍隊のようなそれではなく、ただ人を殺す為だけの方法を教えられた。その過程で、たくさんの仲間が死んでいった。食べるものもなく、上官にあたるような人達からの暴力、緊迫した状況の中で気が狂っていった奴もいた。
初めて戦場に出たのは5年ほど前だった。
目の前でたくさんの人が死んでいった。仲が良かった奴も、殺したいほど憎かった上官も、死ぬ時は皆、呆気なかった。
そして、自分もたくさんの人を殺した。
末端の少年兵に銃など高等なものは与えられず、初めのうちは小さいナイフで戦っていた。そのナイフでさえ、子どもの手には余っていた。初めて人を殺した時も、そのナイフだった。3回目の戦場だったと思う。相手は、共に訓練した仲間だった。
「もうこんなのは嫌だ!耐えられない!人なんか殺せない!殺して!死にたくない!殺して!」
死にたくないと言いながら殺してと言う彼の目は、完全に狂ってしまっていた。
だから、殺した。
柔らかい物に刃物が刺さる感触と、もたれかかってきた相手の重みは、どれだけ経っても忘れられなかった。
生きるのが幸せなのか、死ぬのが幸せなのか分からなかった。
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