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第4話
幾つもの戦場を潜り抜けていくうちに、1つの小さい部隊を任されるようになった。リーダーとして、それなりに責任を負わされるようになったが、その頃には仲間意識など無くなっていた。
どうせ、皆死ぬのだ。
仲間と思って、情をかける意味もない。昨日まで仲良く話していた奴が、今日にはただの肉塊になっているなんてザラにあった。一日に何百人という人間が死んで行く戦場では、気が狂わない為に心を閉ざすしかなかった。
そうして、殺した人の数もだんだん分からなくなって行った。
戦場にいる意味など、自分は知らない。今自分がいる軍がどんなポリシーを掲げているのかも知らない。敵の何が悪くて、殺しているのかも分からない。
何も分からないが、自分には敵を殺すという事しか教えられなかった。存在自体が兵器。
何の意味もない世界。
いっその事こと、全て無くなって仕舞えばいい。
何度洗っても落ちない手の平の赤色が気に食わなかった。
モノクロの世界に色がつくのは、誰かが死んだ時だけ。その事に恐怖して眠れない日もあった。耳の奥で悲鳴が鳴り止まない日もあった。
ただ、今は、体中にこびりついた赤色だけが、生きている事を実感させてくれる。
気持ち悪い。
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